若返りの秘訣 - 運動で容姿と若々しさを保つ

神話には永遠の命を追い求める物語が溢れています。もはや不老不死の薬を持つ怪物退治を目指して夕陽に消えて行くヒーローやヒロインはいませんが、それに代わって、化粧品、ビタミン剤、スーパーフード、新たに発見された効能のある実、さまざまなダイエット食品などが入れ替わり立ち替わりと登場しています。

しかし以外にも、人類が直立歩行を初めて以来、若返りや、いつまでも若さと健康を保つことのできるカギは、誰でも自由に手に入れられるものでした。いつでも手に入れられるというのに長い間見過ごされ、見向きもされなかった運動こそが不老不死の薬だったのです。

幸い、運動は、適度であれば、いつ始めても遅すぎるということはありません。運動を習慣づければ、すぐにその健康上のメリット、さらには心身ともに若返っていくのを実感できるでしょう。

定期的な運動には以下のような効果があることが医学的にも証明されています。

  • 変形性関節症のリスクを最大83%低減する
  • 股関節骨折のリスクを最大68%低減する
  • Ⅱ型糖尿病や結腸がんのリスクを最大50%低減する
  • 冠動脈性心疾患や脳卒中のリスクを最大35%低減する
  • 転倒(高齢者)、鬱病、認知症、早期死亡のリスクを最大30%低減する
  • 乳がんのリスクを最大20%低減する

また、年をとるほど不調、体力の低下、動きが不自由になるといった症状が出るのは避けられないという予測が正しいとは限りません。老化は、遺伝や加齢よりもむしろ、いかに活動的な生活を送ることで身体の健康を維持するか、に大きく関わっています。

つまり、活動的に過ごすことで身体の機能をより若く保つことができ、たとえ加齢の影響が出始めたとしても、運動を取り入れることで同年代より若くいられることが可能なのです。

また、細胞レベルで加齢の早さに影響を与えるもののひとつにテロメアがあります。テロメアとは、染色体の先端を保護するフタのようなもので、テロメアDNAとタンパク質が結合して染色体の先端を保護し、安定させる役割を果たしています。そしてテロメアの長さが短くなり構造が劣化すると、細胞の老化が進み、やがては死滅します。テロメアは加齢に伴って短くなるもので、長ければ長寿命につながります。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)と同じくカリフォルニア州にあるPreventative Medicine Research Instituteによるパイロット・スタディでは、テロメアを長く保つための4つのライフスタイルの変化のひとつが週6日1日30分のウォーキング程度の適度な有酸素運動であるということが示されています。他の3つは、食事療法、ストレス管理、社会的支援の強化です。

よりエネルギッシュにより若々しくというだけでは足りないというのであれば、定期的な運動には、肌を柔軟に色艶良く整える効果もあります。これについては、オンタリオ州のマックマスター大学の研究者陣が、20歳から84歳までの成人の小グループを対象に研究を行っています。その結果、定期的に運動を行った40歳以上の被験者の肌は、20代、30代の被験者に近い状態になりました(日焼けによるダメージを考慮しても)。

同研究チームは、運動が皮膚の老化を遅らせる作用を持つ物質を作り出すという仮説を立てました。運動が皮膚の状態を変化させる仕組みについてはまだ正確には解明されていないため、さらなる詳細な研究が必要です。

運動には、健康を保ち、活力をもたらす以外に、以下のようなメリットもあります。

 

  • 心臓の強化 - 他の筋肉同様、心臓も加齢とともに弱っていきますが、定期的な運動によって心筋組織を鍛えることができます。
  • 記憶力の向上 - British Journal of Sports Medicine(2014)に、定期的な有酸素運動によって、脳の中でも記憶に関係する海馬の容量が大きくなることが考えられるという研究結果が報告されています。
  • 腹部の脂肪を減らす- 定期的な有酸素運動には、糖尿病や心臓疾患のリスクにつながる中年太りの解消や内臓脂肪を減らす効果があります。
  • 血流の改善 - 運動することで血管の柔軟性が向上し、それによって収縮が容易になるため、脳、心臓、筋肉といった組織に十分な血液を送り込むことができるようになります。

年齢を変えることはできませんが、適度な運動を心がけ、健康的なライフスタイルを送ることで精神的、肉体的な若さを保つことは可能です。