食生活に関するヒント:激しいトレーニングに取り組む菜食主義ランナーのための栄養バランスのとれた食事

あなたがマラソンのトレーニングに励んでいる菜食主義ランナーだとしたら、ぜひともこの記事の最後まで目を通してください。植物性食物主体の食事で、長距離ランナーとしての本格的トレーニング、そしてレースに出場して最後まで走り抜くのに必要な栄養、タンパク質、そしてカロリーを摂取できるのでしょうか?本稿は菜食主義ランナーにとってのバランスのとれた食事のヒントを提供することを目的としています。

菜食主義者と一口に言っても、いろいろなタイプがあります。まずはその類別から始めることにしましょう。

  • 卵乳菜食主義者(ラクト・オボ・ベジタリアン) – 乳製品と卵は拒まないという菜食主義者です
    • 乳菜食主義者(ラクト・ベジタリアン) – 乳製品は食べますが、卵には手を出しません
    • 卵菜食主義者(オボ・ベジタリアン) – 卵は口にしますが、乳製品には手を出しません
    • 完全菜食主義者(ビーガン) – 乳製品、卵を含め、動物性由来の食べ物を一切口にしません
    • 果食主義者(フルータリアン) – 動物性食品一切に加えて、加工食品も口にしません

さて、あなたが菜食主義者であったとしても、肉を食べる多くのランナーと同じレベルの栄養を食事で摂取する必要があることに変わりはありません。とはいえ、食べ物の選択肢が限られるわけですから、必須ビタミンやミネラル、カロリーなどの不足を来さないために、食材の選択と調理に人一倍の時間をかけ、最善の食事を心がける必要があります。

では、どうすればそれが可能になるのでしょう。以下、菜食主義ランナーのためのバランスのとれた食事を考える場合にぜひとも押さえておきたい優先事項と、菜食主体の非の打ちどころのない献立を考え、食卓に上せるのに役立つ具体的な食物について説明することにします。

菜食主義者の食事の基本

菜食主義ランナーにとって欠かせすことができない食物があります。

  • 穀物とシリアル食品 – 全粒粉パン、玄米、全粒粉パスタ、ミューズリー
  • マメ類、ナッツ、種実類 – 大豆、インゲン豆、皮剥き干しエンドウ、レンズマメ、アーモンド、カシューナッツ、ゴマ
  • 果物と野菜 – 量はお好きなだけ。バラエティを考え、新しい果物や野菜にも挑戦します。また毎日、欠かさないようにします
  • 乳製品または大豆製品 – 低脂肪/低カロリーの牛乳、ヨーグルト、チーズを探します

タンパク質

タンパク質の摂取量が不足した場合、長距離走行後の疲労回復に要する時間がずっと長くなります。食物に含まれるタンパク質が体内で分解してできるアミノ酸は、筋肉の成長と組織の修復に欠かせないほか、エネルギーとホルモン合成の源であり、病気から私たちの体を守る抗体の形成にも必要です。

菜食主義ランナーは、タンパク質を豊富に含む食肉や魚介、鶏肉を口にしません。では、マラソン大会に向けて厳しいトレーニングを重ねる間を含め、十分なタンパク質を摂取するには何を食べればいいのでしょう。豆類や複合糖質、ナッツ類から十分なタンパク質を摂ることができるのでしょうか?

菜食主義者にとっての最善のタンパク源は、穀類とマメ類、卵、チアシード、豆類、ナッツ、豆腐、レンズマメ、チーズ、牛乳、豆乳、アーモンドミルクの組み合わせ、キノア、ブルガー小麦、オート麦などの穀類、野菜と大豆、マメ類とナッツ、野菜と乳製品などの組み合わせをいただくことです。

菜食主義者と完全菜食主義者は、カロリーの15%をタンパク質から摂取することが望ましく、間食するときは努めて「高タンパクスナック」を食べるのがいいでしょう。

カルシウム

強い骨格を維持するには、カルシウムが欠かせません。一般の人はカルシウムのほぼ全量を乳製品で得ています。となると、完全菜食主義者は、別のカルシウム源を探すほかありません。では何があるかということですが、完全菜食主義者にとって好適なカルシウム源として次のようなものが挙げられます。

  • 栄養素を強化した豆乳、ライスミルク、オートミルク
    • 緑色の葉物野菜(ホウレンソウを除く)
    • アーモンド
    • ゴマ、タヒーニ(ゴマペースト)
    • ドライフルーツ
    • マメ類
    • 黒パン(全粒粉パン)と白いパン

平均的な成人は1日あたり700mgのカルシウムを必要とします。したがって、完全菜食主義者はこれらの食品を毎日の食事に採り入れ、せっせと食べることが必要です。体はカルシウムを吸収するためにビタミンDを必要とします。強化マーガリンとファットスプレッド、強化シリアル食品、卵黄はビタミンDを含んでいます。また人体は陽射しを浴びると体内でビタミンDを合成します。

炭水化物

炭水化物摂取という観点から菜食主義者にとって最善の食材は、ソバ、キノア、コメ、そしてサツマイモなどのデンプン質に富んだ野菜です。

オメガ3

菜食主義ランナーは良質の脂肪を摂取する必要があります。そこで思い浮かぶのが必須脂肪酸のオメガ3です。この「良質」脂肪は、人の健全な成長、発達と脳の機能に欠かせないほか、慢性病とリンクした炎症症状マーカーの抑制に効果があります。必須脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は一般に魚介に含まれています。またα-リノレン酸(ALA)は植物性の食物から摂取できます。

オメガ3脂肪酸はアマニ油、クルミ、ナタネ油、カボチャ種子、豆腐、アボカド、大豆などを含む食物を摂取することで補給できます。パン、シリアル食品、パスタ製品にALAを強化したものがあるほか、微細藻類で強化したヨーグルトなどの食品にもDHAが含まれています。

鉄と亜鉛

鉄分が不足すると、赤血球の数が減り、ヘモグロビンのレベルが低下して、筋肉に届けられる酸素が減少し、走るにしても他のスポーツをするにしても、思うように体を動かせなくなります。

亜鉛は感染症を寄せ付けず、活動している筋肉から二酸化炭素を取り除くほか、負傷の治癒を助ける働きをします。残念ながら植物由来の鉄と亜鉛は動物性のものほど吸収がよくなく、菜食主義者が一般人並みに適量の鉄と亜鉛を摂取するには一工夫も、二工夫もする必要があります。

菜食主義者であるあなた、食物から直接摂取する鉄(非ヘム鉄)と亜鉛は吸収の悪いタイプが主体となりますが、その際ビタミンCを豊富に含む緑色の葉物野菜や柑橘系果物を一緒に食べると、その働きで鉄/亜鉛の吸収性がよくなります。また、鉄と亜鉛を強化したシリアル食品で毎日の鉄/亜鉛の摂取量を増やすこともできます。鉄と亜鉛を強化された食品(たとえば穀物)、ホウレンソウ、マメ類、レンズマメ、ナッツ、大豆、キノア、ベークドポテト(皮付きのもの)、乳製品、有機豆腐、廃糖蜜などを毎日の食事に含めるようにしましょう。

B-12

鉄不足と聞いてすぐに連想するのが貧血ですが、ビタミンB12が不足しても同じような症状が起きます。普通の菜食主義者であれば、牛乳やチーズなどの乳製品と卵でビタミンB12を補給できます。シリアル食品や豆乳、代用肉など一部の食品には、ビタミンB12を強化したものもあります。あなたが完全菜食主義者の場合は、複合ビタミン剤やB12を強化した大豆製品などにより、ビタミンB12の補給を図ることをお薦めします。

植物性食品主体の食事の利点

ベジタリアンの食事の一番の利点は、植物性の食物は、肉類や乳製品と比べ、相対的に酸化度が低い、あるいは「アルカリ度」が高いことです。血液のpHが極端に酸性側に傾くと、炎症の原因となるほか、炎症の治癒を長引かせる原因ともなります。

動物性食品の酸性度が高いのは、動物性タンパク質を構成するアミノ酸が硫黄元素を含んでおり、それが代謝の過程で硫酸の形成と排出レベルを押し上げるためです。さらに、血中酸度が極端に上昇すると、それに抗する形で骨格を形成するカルシウムが少しずつ溶け出すことにもなります。

野菜と全粒穀物食品、果物主体の低脂肪の食事を摂っている人は、相対的に血圧が低く、コレステロールレベルが良好と考えられています。さらに、ベジタリアンフーズを常食している人は、高血圧やメタボリックシンドローム、糖尿病、心臓疾患などの慢性病にかかるリスクが低いことを示す一定の証拠も存在します。